第2回完成披露「池田毅」|究極の箱作り|パッケージ印刷のことなら四季紙器.com

パッケージデザイナーとのコラボレーション! 究極の箱作り 池田毅;

池田毅

楽しんでやってるんだから、辛いことなんて全然ない。

作品

取材中に何度聞いても同じ答えが返ってきた。「好きなことを好きなようにやらせてもらってるんだから、苦しいことなんてないよ。楽しくなきゃ、こんなことやってられないからね。」今回の企画にあたって、苦労した点・悩んだ点を聞こうとしても、池田氏は決まってこう答えていた。今回の作品に選んだロゴタイプと箱の組み合わせ、池田氏にとってはかねてから作りたかった作品であり、ちょうどよかったのだと言う。

作品を作る時は考えながら手を動かす。コンピュータがあまり好きではないと語る。その理由は曖昧さが無いから。そして、決めることが難しくなるからだ。コンピュータによって簡単に複製したり色を変えたりすることができてしまう。選択肢が増えれば増えるほど人は迷う。それが決断を鈍らせる。だからこそ、氏の作品は全て手で作り出すところから生まれる。こうした細かい作業も、全て楽しみながらやっている。

触れないと分からないことがある。

池田毅

「今の若い人はほとんどが知識先行型。ものに実際に触れる機会が少ないね。紙なんかでも自分で触ってみないから分からない。それだとパッケージデザイナーとして不十分だね。今はデザイナーと言ってもいろんなことを分かっていないといけない。もっともっと五感を磨いてほしいね。」
若いデザイナーに向けたアドバイスを聞くと、こうした答えが返ってきた。今も週末は自宅にある工房でモノづくりを楽しんでいる。町中へ繰り出し、自分の手で素材を選び、削り、色を付けて作品を作る。工房には池田氏しか分からないようなモノがあちこちに置かれている。とにかく手を動かして自分の感じるままにモノを作る。こうした積み重ねがあるからこそ、今もなお最先端のデザインを生み出し続けることができている。

モノづくりはきっと、死ぬまでやっている。

池田毅

「悔しい。」池田氏は最後にポツリとこう呟いた。完成品を見て、自分の色使いの無難さに改めてショックを受けたというのだ。 「もっともっと自分の枠を突き破るような、そんな色使いがしたい。でもこうして見てみると、まだまだ自分の枠の中で色を使っている。あぁ、結局今回は自分という枠を破れなかったか。そんな想いがして、悔しい」 68歳になっても、まだまだ自分のデザインに対して探究心・成長意欲を持っている。そんな池田氏のプロとしての一面を垣間見た気がした。

デザインとファインアートの間を歩いていたいという池田氏はこれからもきっと、日常の中で出会うものに刺激され、趣味のモノづくりで得たヒントをもとに、デザインを作り上げていくのだろう。

パッケージ構造紹介
フタ
フタ

素材:マーメイド白 210kg

生産手順
1.ロゴタイプデザイン
2.5層になる様設計、カッターで切る。
3.2mmの発泡材を、中にはさみ積層して貼り仕上げる。
本体

素材(紙):マーメイド白 210kg

生産手順
1.型押し(押し込みエンボス)
2.トムソン抜
3.サック貼 地獄底
フタ
フタ

素材(紙):カードBベース消銀ホイル 270g/m2

生産手順
1.オフセットホワイト+4色カラー印刷
2.ロゴ縁 艶シルバー箔押
3.トムソン抜
4.手組み立て
本体

素材(PP):セキスイ両面マット PT-56-N 0.4mm

生産手順
1.シルクスクリーン印刷
2.トムソン抜
3.サックメルト貼 地獄底
構造紹介1

マーメイド紙と厚さ2mmの発泡板をアルファベットのスペルごとに切り抜いて重ねていくことで実現したロゴタイプの蓋。重ねるごとにロゴタイプの枠を3mmずつ大きくしていくことによってこうした立体感を表現することができる。そして、これらの蓋は全て池田氏による手作り。いくつになってもモノづくりが好きだという池田氏だからこそ、こうした作業も苦もなく、むしろ自ら積極的に取り組むことができるのだろう。

構造紹介2

箱の身の部分はマーメイドにアルファベットの空押しをすることによって無地のまま印刷を行わずにロゴタイプを表現。文字が細かくなるとAやBなどの線や丸い部分がつぶれてしまう。一方で、しっかりと押さなければ文字全体がくっきりと見えないため、空押しは慎重に行わなければならなかった。

構造紹介3

銀色のフタはホイル紙にUVオフセットで、ホワイト印刷の上にフルカラー4色印刷を施し、素材の銀色が印刷したロゴタイプに透けないように配慮した。合計26個のロゴタイプのフタにはそれぞれカラフルなデザインが施されている。

構造紹介4

クリアケースで作られた身の部分は箱として形作るための綴じしろが目立つと不細工になるので、できる限り違和感の無いように内側メルト貼を施した。側面に描かれているアルファベットはスクリーン印刷が施されている。かなり小さい文字まで正確に印刷されており、手に取った時に立体感も感じられる。思わず手にとって触りたくなるデザインだ。

デザイナープロフィール
池田 毅

6月6日生。 パッケージデザインのアートディレクターを主な仕事とするが、阿波和 紙伝統産業会館や神戸酒心館などプロデュースも手掛ける。 地域ブランド・企業ブランド・商品ブランドの構築と同時に、新製品の 開発と仕事の領域を広げている。

  • 日本パッケージデザイン協会展特賞・協会賞・会員賞
  • 日本パッケージデザイン大賞奨励賞・特別賞
  • パッケージング展印刷工業会会長賞4回他、多数受賞

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